パンデミックの影響かまたはビジネスチャンス
2020年はパンデミックの年として知られていますが、インドへの技術とインフラ投資の刺激的な時期でもあります。
Facebook (フェイスブック)、Google (グーグル)、Apple (アップル)、Foxconn (フォックスコン)、およびシリコンバレーの最大の企業の多くは、インドに巨額の投資をしています。
これら投資の主役は、インドで最も勢いのある企業の1つであるJioです。 Jioは、インドの大手コングロマリット・財閥企業であるReliance Industriesが所有する会社です。 2007年に設立され、今日では時価総額で4番目に大きいインド企業です。Jio という言葉の意味は「生きる」です。この会社の成長の物語は、インドの市民の生活に大きなライフスタイルの影響を与え続けています。
インドはある程度重要性を増しているようです。サプライチェーンと製造業がインドへシフトしているという傾向とインドへの最近の大きな投資についてお話します。
まず、インドへのさまざまな大規模投資の理由について説明します。
フェイスブック
FacebookがインドのJioに巨額の投資(6000億円(US57億ドル))をしました。これによりFacebookはJIOの事業の10%の株式を保有することになります。その理由 はJioはRELIANCE Industriesとインドおよび世界でも有数の資産家であるMukesh Ambaniが所有してるからです。Reliance Group はインドでは最も強い財閥であり、現在の首相ナレンドラ・モディが率いるBJP (Bharatiya Janata Party) 政府との強い政治的つながりがあるからです。
グーグル
GoogleもJioに投資し、低コストのスマホを作るために協力しています。
Googleが世界最後の成長マーケットであるインドに1兆円超を投資することを発表しました。Alphabet(Googleの親会社)のSundar PichaiCEOがインドの可能性について前向きな姿勢を示しています。
「Jioに投資するというGoogleの決定は、デバイス、検索、アプリ、および電子商取引を含む多くの種類の商取引」と、Greyhound Researchの創設者兼CEOであるSanchit Vir Gogiaは述べています。「パートナーシップと、事業運営およびインフラ投資への投資が含まれます。これにより、長期的にはインド経済に利益がもたらされます。
投資は以下の4つのエリアに焦点を当てています (TechCrunch Japan):
・全インド国民がヒンディー語やタミル語、パンジャーブ語、その他の言語など自分の言語でアクセスし、情報を得られるようにする
・インド特有のニーズに応える新たなプロダクトやサービスを構築する
・デジタルトランスフォーメーションに取り組む企業のサポート
・医療や教育、農業など公益性のある分野へのテクノロジーとAIの活用
これにより、イノベーションと商業の機会がより多く生まれます。
投資とパートナーシップ提携のメリット
Facebookは、インドで最も利用されているチャットのプラットフォームであるWhatsappを所有しています。Whatsappのインドのユーザー数は約4億人です。 Facebookはまた、インドに3億人のユーザーを抱えています。
インドでは5億人以上の携帯電話ユーザーがいて、Jioのユーザーは3億9千万人です。Jioは携帯電話のユーザーの50%以上を占めます。Jioが通信事業のライセンスを取得して事業を開始したとき、Jioは無料音声通話と、非常に低コストな携帯電話とデータプランを提供しました。その後シェアを拡大していきました。
調査会社のカウンターポイントによると、携帯電話ユーザーは2022年までに7億人に増加します。 次のステップはこれをさらに拡大し、製品ミックスに低コストのサービスを追加することです。
Facebook によると、インドではわずか5年間でインターネットの利用者が5億6千万人近く増えました。これらのすべてのユーザーを収益化できるわけではありませんが、インドは成長志向の経済であるため、それはまだビジネスチャンスを表しています
Facebookは、Instagramも所有しており、インドには8,000万人以上のユーザーがいます。TikTokのユーザー数は1億2,000万人でしたが、TikTokと多くの中国のアプリがインドで禁止されているため、ショートビデオ共有アプリケーションのユーザーも対象にすることができます。 ショートビデオ共有は非常に人気があり、インドがTikTokを禁止したとき、大きなビジネスチャンスが生まれました。 これを活用するために、Instagram Reels #instareel がインドでリリースされました。
Appleはインドのスマホ市場からのさらなる利益を狙う
Appleのマーケットシェアは1%をわずかに超えています。このことからインドの顧客に関する洞察が得られます。ほとんどのインド人は携帯電話に9万5千円(US900ドル)を支払いません。iPhoneはステータスシンボルなので、ハイエンドモデルとして上層階級にしか売れません。Appleは製品の差別化だけで競争するのはうまくいかず、ローカライズすることにしました。
報道によるとAppleは、インドでiPhone 11を製造しようとしています。中国と韓国との激しい競争により、アップルはインドのハイエンドのスマホ市場を現地製造することにより獲得することを目指しています。
インドで電話を組み立てることで、20%の輸入関税を支払う必要がなくなり、Appleは利益を得ることができます。Xiaomi、Samsung、Vivo、OnePlus、Oppoなどの企業がインドで一部の電話を組み立て、製造しているのはこのためです。
Appleはインドを製造拠点としてそして中国に次ぐ世界で2番目に大きいスマホ市場として見られています。 FoxconnはチェンナイでAppleのサプライヤーとして、新しい工場を建設中です。台湾のメーカーWistronはバンガロールでAndroidのスマホを製造しています。 台湾の大手メーカーPegatronは新工場を計画していると言われています。
アメリカの半導体メーカーもインドへ
Mukesh AmbaniはJioが5Gにも投資することを発表し、QualcommとIntelも投資部門を通じてJioに投資しました。インドは、半導体設計およびマイクロ半導体設計に関する技術サービスについて開発してきましたが、それでも製造施設は不足しています。製造施設は多額の投資を必要とし、これまでのところ、インドではインドで半導体を大規模に製造していません。
インドのオンラインデジタル市場の魅力的なところ
インドのデジタル広告市場とEC市場はまだ初期段階ですが、大企業はインドでのデジタルエコシステムの構築を支援し始めています。
「インドの約US$792 billionの小売市場のうち、2019年3月に終了した年度にオンラインで実行されたのはわずか3%でした。」
ゴールドマンサックスは、インドのEC小売市場は2024年までに10.4兆円(US99billionドル)に達し、2019年から2024年にかけて27%で成長すると予測しています。
GoogleはJioのECプラットフォームであるJioMartが食料品小売で50%のシェアを獲得できる可能性があると見ていますので、これらの投資は理にかなっているようです。インドにおける食料品は、2019年現在40兆円(US380 billionドル)であり、小売市場全体の60%を占めています。
JioMartはオンライン販売でAMAZONとFlipkart(主要株主は米国のWalmart)にまだはるかに遅れていますが、Facebookをパートナーとして、JioMartはこれらの競合となります。
インド市場はまだとても保護主義です。政府は補助金と外国の団体に対する規則の設定で産業を保護しています。これがなければAmazon インドは不当な価格優位性を得ることができるようになり、中小企業や地元産業が公正に競争することができなくなるからです。
たとえば、Amazonが会社に投資している場合、その会社の製品をAmazon インドで販売することはできません。これにより、Amazonインドが不当に支配するのを防ぎます。
アメリカのテック企業が Mukesh Ambaniに近づき、インドでの成功を可能にするためにさらなる政治的影響力を求めています。
このことから学べること
インドが次のビジネスフロンティアになることは明らかです。これは、低コストのためではなく、才能があり、教育を受けている人材が豊富なためです。これらの人材は業務経験と関連するビジネススキルを必要とするかもしれませんが、他の国ではそのような豊富な人材はいません。これがインドの利点です。
最も重要な問題は、プライバシーと情報の信頼性(フェイクニュース)です。政府がインターネットプライバシーを管理および支援し、情報の共有を支援する方法は、ビジネスに影響を与えます。そして、政治情勢と中国のハイテク企業の疑惑により、これらの問題は将来のビジネスの多くの影響をもたらします。
参照リンク
- Reliance to capture half of online grocery sales: Goldman Sachs
- Google Announces Rs 75,000 Crore Fund To Boost India’s Digital Economy
- Why Facebook Is Betting Big on India
- グーグルが世界最後の成長マーケットであるインドに1兆円超を投資
- インドの2020年第2四半期のスマホ出荷台数は前年から半減の1730万台
- フォックスコンがインドでiPhone 11の製造を開始、すでに小ロットを出荷で生産増強に意欲的
- Apple Supplier Foxconn To Invest $1 Billion In India: Report